「……」

 ベリルは目を据わらせる。

 昔に聞き及んでいた事柄が脳裏を過ぎったのだ。

「……」

 とりあえず、ウサギとは距離を置く。

 しばらくそうしていると──

「! む……?」

 突然、足にイバラが絡まってきた。

 それは両手をも拘束し、ベリルを地に縛り付ける。

 ウサギはその光景を見つめてベリルの前にちょこんと座った。

 すると、ウサギは白い煙に包まれ見る間に膨れあがる。

「はっはぁ~! やっと捕まえたぞ」

 灰色の髪の男が煙の中から現れた。

 40~50代ほどと思われるが、精悍な顔立ちをしている。

 その男はベリルに近付くと、見定めるようにマジマジと眺めた。