次の朝──

「……」

 木につながれている馬が暴れているが、ベリルは目の前の生物に目を丸くした。

 それは巨大な大鷲だ。

 ジッとベリルを狙うように見つめている。

 なるほど、私1人なら軽々と掴んで飛べそうだ。

 と、ベリルは考えながら大鷲を眺めた。

「生憎と空の旅をするつもりはない」

 平然と言ってのけるベリルに、大鷲は構わずに飛びかかる。

 あまり怪我をさせたくないのだが……思って、鞘から抜かずに剣を振った。

[ギャオ!?]

 思わぬ抵抗を受けた大鷲は、戸惑うように目をギョロつかせる。

「殺したくはない。行け」

 大鷲は、その言葉に素直に従い飛び去った。

「!」

 そこにまたあの白ウサギが現れた。