水竜と別れたベリルは、馬に乗り行くあてもなく放浪する。

　地図を脳裏に思い起こし、ふと南東にある町に意識が留まった。

　彼が今いる位置は大陸の西南ここから南東にある町はかなり遠いが、もとより目的のある旅ではない。

　ゆっくりと馬を進めた。


　そうして太陽の光がオレンジに染まる頃、ベリルは木のそばに馬をつなぎ野宿の準備にかかる。

「！」

　薪（たきぎ）に火をおこしていると、１羽の白いウサギが何の警戒心も見せずに近寄ってくるではないか。

「……？」

　怪訝に思いながらも、その頭をなでてやる。

　すると、ウサギは彼の膝にぴょこんと乗りねだるようにすり寄った。

「??」

　ベリルはますます首をかしげたが、敵意の無いウサギの背をなでつけた。