リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

[お前はなんと良い奴なのだ]

 水竜は上機嫌になり、河の水を操り色々な芸当を見せた。

[すまない事をした]

 水竜は反省し頭を下げる。

「解ってくれたのなら良い」

[おぬしには少々、ややこしい事情があるようだな]

 それに苦笑いを返した。

「もう、昔の話だ」

 そう言って1人の男を思い起こす──遠い過去の親友を。

 明るく、快活で……力をいつも欲していた。

[まあ良い。謝罪と言ってはなんだが、我の加護も受け取られよ]

 水竜は言いもって、口にくわえていた青いウロコを差し出す。

「……」

 ためらったベリルだが、そのウロコを手に取るとソレは彼の手の中に吸い込まれるように消えた。

[それは河の水から護るもの。おぬしの前では濁流もせせらぎの如く大人しくなるだろう]