リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 ベリルは笑って馬から降り、剣を持ち上げる。

「私でなければこれは制御出来ない。そういう“つながり”を持たされた」

[ならばキサマこど食らってやる!!]

 竜は大きく口を開き、ベリルを飲み込もうとした。

「無茶苦茶だなぁ」

 ベリルは呆れて溜息を吐き出す。

「まあそんな事よりも」

[そ、そんな事より?]

 相手の態度にカクンと拍子抜けした竜は、馬に近づき何かを降ろしている様子を見つめた。

「酒でもどうだ」
[! 酒?]

 竜の耳のヒレがピクリと動く。

 水竜は水と通じているためか酒に目がない。

 ベリルは酒瓶を竜に手渡す。

 その瓶を器用に口にくわえ、竜は一気に飲み干した。

[ゲフ……おお、この酒は旨い]

「気に入ったならもうひと瓶ある」