リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 剣の刃先を持ち、柄(つか)を竜に向ける。

 竜は差し出された剣に喜ぶように顔を近づけた。

 剣を口にしようとしたそのとき──

[グオォウ!?]

 剣は拒絶するように炎を吹き上げ、竜の鼻先を焦がす。

[これは魔剣か!?]

「どちらとも言えない」

 この世を形作る精霊の力を宿す剣

『エレメンタル・ソード』

 見つめる竜を威嚇(いかく)するように、小さな炎をちらつかせていた。

[キサマの仕業なのだろう]

「そう思うなら拾え」

 ベリルはそう言って、ポイと地面に投げ置いた。

[……]

 警戒しながら顔を近づける。

[!? ギャオォ!]

 やはり剣は炎を吹き出し、水竜を攻撃した。