村を出て、地図を広げる。

 次にどこに向かおうかをベリルは思案していた。

 人が歩いて書き記してきた地図。

 常にそれは変化し、新たな道が生まれる──

 ひとまず進むか……ベリルは馬に乗り、足を進めた。

 しばらく進むと、目の前に大きな河が見えてくる。

 澄んだ流れが太陽の光を反射して輝きを散りばめ、心地よい音に思わず笑みがこぼれた。

 しかしすぐ、表情を険しくする。

「何かが……いる」

 そうつぶやいた刹那──河から何かがせり上がってきた。

 それは水のかたまりを押しのけて地響きを立て、ベリルの足下まで水しぶきを寄せ大きな頭をもたげた。