次の朝──ベリルは早くに村を出る準備をした。 もともと、この村に立ち寄る予定は無かったのだ。 「もう少し、のんびりして行かれればよろしいのに」 ムナリアは言うが、これ以上、変な詮索(せんさく)は願い下げだ。 苦笑いを浮かべ、たてがみと尾が金色の見事な褐色の馬にベリルはまたがる。 栗毛と呼ばれる馬の中でも尾花栗毛(おばなくりげ)と呼ばれる馬だ。