「ありがとうございます」

 確認し、後ろにいる男に合図するように顔を向けると革袋が差し出された。

 ムナリアはそれを受け取ってベリルの前に見せる。

「ありがとうございます。これは報酬の金貨……」

「金貨30枚だ」

 言い終わらないうちにベリルが応えた。

「馬鹿な、ちゃんと……」

 ムナリアは目を見開き、声が震える。

「そいつのおかげで無駄に神経を使った。その分を加算させてもらう」

 クイと少年をあごで示す。

「シオナ?」

「す、すいません……」

 少年は、すごすごと体を縮こまらせ視線を泳がせた。

「この金貨は村中、かき集めた金で……」

 か細く発するムナリアを一瞥し、溜息を吐き出したベリルは口を開く。

「今夜の宿を頼む。それで良い」

「でしたらうちにお泊まりください」