リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「え……?」

 聞き返した少年の視界が、薄ぼんやりとしてきた。

「なに?」

「インヴィジビリティ(不可視)の魔法をかけた。倒すまで動くな、魔法が解除される」

 誰もいない場所に発して、マンティコアに向き直った。

「仕方がないな……」

 ベリルはつぶやき、魔獣に向かって駆ける。

[グォウ!]

 牙を剥きだし、ベリルに噛みつこうと大きく口を開いた。

 その刹那──

「……サラマンディア」

 ベリルは口走り、剣をマンティコアの口の中に突き立てる。

 それだけではこの魔獣は死なない。

 だが、その突き立てた剣が炎をあげた。

[ギャウ!? ガアァー!]

 体内から燃やされた魔獣は、その巨体を地面に横たえた。