「……」

 その青年は、果てしなく続くような草原の先に溜息を漏らした。

 白い岩があちこちに点在し、油断すると足を捕られそうだ。

 薄汚れた灰色のマントを羽織り、腰には長さ70㎝ほどの剣がさげられている。

 とある街に立ち寄った処、モンスター退治を頼まれたのだが……

「あんなものはパーティに頼むものだ」

 遠くの空からこちらに向かって飛んでくる黒い影を見つめ、ぼそりとつぶやいた。

 影が徐々にその姿を現していく。