「ほら、なんていうかさ。あの子、優しいじゃない。だから……」

「余計に孤独を感じる」

「うん、そう」

 ベリルはエオスを見つめ、エリスを思い浮かべた。

 互いに相手を思い遣っている。

 まるで半身でもあるかのように──

「半身か……」

 遙か昔にいたような記憶。それは遠い思い出。

 つい先日までは鮮明だったソレは、今はもう彼方に去っていった。

 リンドブルムの呪いは消える事はないだろう。

 何故なら、それこそが呪いの根源なのだから。

 それ以外を呪った訳でも憎んだ訳でもない。

 ただ……永遠(とわ)なる願いを口にしただけなのだ。

 その願いのために、呪いを利用したに過ぎない。

 あのリンドブルムにはそれが出来た。

「……」

 ベリルはそうして静かに目を閉じ、うららかな日差しを窓から浴びた。



END


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