エオスの神殿──天蓋(てんがい)付きの豪華なベッドの中で、エリスは嬉しそうに鼻歌交じりに男の髪をいじっている。

「……」

 金色の短い髪をいじられながら男は、呆れた顔で女神を見つめた。

 共に衣服は身につけていない。

 小鳥のさえずりが窓から聞こえ、エオスは笑顔でそちらに頭を向ける。

 そして、満足したように溜息を1つ吐き出すと口を開いた。

「良かった……あなたがいてくれて」

「!」

 ベリルは怪訝な表情を浮かべる。

「あの子、ずっと独りなんじゃないかと心配だったの」

「ああ……」

 そういう事か……とベリルは納得した。

「あたしと同じ顔だからさ~町でも酷い噂とかされてたし」

「お前のせいだろ」

「そうなんだけどね~」

 言われてエオスはにこやかに笑う。