「お前はそれでも構わないのか」

「……っ」

 ビクリと体が強ばった。

 少し考えるように目を泳がせベリルを見つめる。

「いい……あなたがいいなら」

 ベリルは困惑した。

 同じ顔だからそれほどの抵抗は無いかもしれない。

 しかしベリルにとっては同じ顔でもまったくの別人なのだ。

 むしろこれだとこっちが混乱するかもしれない。

 返事を待つエリスの顔は若干、引きつっているようにも見えるが……自分の言った事に多少の後悔でもあるのだろうか?

 そこの真意はベリルには解らない。

 しかし、邪険にするというのもなんだかな……とまたさらに思案する。

「……」

 段々エリスが苛ついてきたのか、そわそわし始めた。

 こっちだって重大な決断なのだ、もう少し待て……とベリルは思いながら考え込む。そして出した決断は……

「いいだろう」

「!」

「お前が生きている間だけ年に一度、私はエオスの元に赴(おもむ)く。それでいいか?」

「ほ、本当に?」

「相手が了承するかどうかだがな」