リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「チェスを何勝負か」

「……チェス?」

「人間に負けたのが悔しいのか『勝つまで返さない』と言い張ってね」

「……プッ」

 エリスは目を丸くしてベリルを見つめたあと、絶えきれずに笑いをこぼす。

「あれだけゴネていたくせに、いざ負けるとムキになって大人げない」

「あ、あははは……」

 必死に笑いをこらえるが、どうしようもなく口から突いて出て涙も浮かぶ。

 しかし、何かを思いだしたのか真剣な面持ちになってベリルを見つめた。

「私を守りたい……って」

「嘘ではないよ」

 ベリルは紅茶を傾けて視線を合わせずに応える。

 少し目を伏せたあと、微笑みを浮かべて宙を見つめた。

「私は1000年ほどは生きている」

「!?」

 そのあと、エリスに柔らかな微笑みを見せ発した。

「すでに人を愛する心は失われたが、お前を守りたいという感情は嘘ではない」

「……っ」