夕刻──エリスの家の扉がノックされる。

「!?」

 扉を開き、見えた姿にエリスは驚いた。

「遅くなった」

「あ、うん……」

 下を向き、ゆっくり家に入ってくるベリルに視線を合わせない。

「まったく、なかなか離してくれなくてね」

「! ……」

 その言葉に一瞬エリスは体が強ばった。

 それでも平静を装うため、暖かい飲み物をコップに注ぎベリルが腰掛けたテーブルの前に置く。

「あんなにムキになるとはね。負けず嫌いらしい」

「そう……。え?」

 意味を飲み込めずベリルを見つめる。

「何をしてたの?」

 恐る恐る訊ねてみた。