「どうした、お前の番だぞ」

「……」

 しれっと応えるベリルをギロリと睨み付けた。

「何よこれ……」

「チェス」

「そんなコト知ってるわよ!」

 エオスは椅子から立ち上がり、声を張り上げる。

 うららかな日差し、小さなテーブルにチェス盤が置かれベリルとエオスはテーブルを囲って暖かな風を楽しんでいた。

 いや、楽しんでいるのはベリルだけのようだ。

「なんでこんな……っ」

「相手をしてやる。と言ったろう?」

 エオスの言葉をさえぎって平然と言い放つ。

「相手ってこういう意味じゃないわよ!」
「相手は相手だ」


「ズルいわ!」

「ならば帰るぞ」

 エオスは「うぐっ」と言葉を詰まらせて、表情を変えずに椅子に腰掛けているベリルを見下ろした。