「せっかちだな」

「あたしはずいぶん待ったわ」

 気がつけばそこはエオスの神殿。

 白い建物は太陽の光を反射して輝きを放ち、美しいレリーフが飾られている。

「さあ、こっちよ」

 エオスは嬉しそうにベリルを建物の中に促す。

「どうしたの?」

 しかし、そこから動こうとしないベリルに首をかしげた。

「まさか、今更イヤだなんて言うんじゃないでしょうね」

 少し目を吊り上げる。

「いや」

 ベリルは「そんなことはない」と応えた。

「じゃあ早くしましょうよ。それとも、外の方がいい?」

 エオスは口の端を吊り上げて腰を揺らしベリルに近付いてその首に腕を回した。

 ベリルは少し周りを見回し、小さな泉と数本の木々を確認した。

「そうだな……」

 言ってエオスを見下ろす。