「ふむ、随分と制御に慣れてきた」

 ベリルは紅い瞳を谷に向けて発する。

「!」

 完全にドラゴンになった女は、その翼をはばたかせ飛び立とうとしていた。

 ベリルはドラゴンに駆け寄り足を掴んだ。

 ドラゴンは空へと上っていく──眼下にはもうすぐふもとにさしかかるグエンたちが見えた。

 ドラゴンもそれを見たのだろう、徐々に高度を下げていく。

 ベリルはドラゴンよりも早く飛び降り、グエンたちの元へ駆け寄った。

「ベリル!」

 ベリルは瞳を戻しドラゴンに向き直る。

「あいつ、どうやって倒すんだ」

「力はあるが脳は無い」

 端的に応えた。

「奴は最後の記憶だけで動いているようなものだ」

「……って事は、町を?」

 ベリルはこくりと頷く。