リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 怪訝な表情を浮かべたグエンに目を向けず、女を見つめる。

「許容を越えたのだろう。もはや人としての意識は消え去り、ただ破壊のみを求める怪物となる」

「!?」

 グエンはギョッとして、ますます膨れあがる女の体を見やった。

 肌は紫に変わり、ウロコがびっしりと覆っていく。

「まさか……ドラゴンに?」

「そういう事だ」

「じょ、冗談じゃねぇー!」

 グエンは急いで馬にまたがった。みんなもそれにつられて馬に乗る。

「こんな場所でまともに戦えるかよ!」

グエンは馬の腹を蹴って駆け出した。

 みんなもそれに続く。ベリルはレンジャーに自分の馬に乗れと促した。

<私が無事にお前たちをふもとまでサポートする。構わずに馬を走らせろ>

「!」

 グエンたちの頭にベリルの声が響く。

 走るにつれて狭まっていく谷のハズが、そこにはごつごつとした氷が張り巡らされていた。