リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「……今思えば、ドラゴンは私を待っていたのかもしれない」

「え……?」

 英雄としての素質──それはドラゴンにとって、己の力を全て受け入れる『器』を持つ者に他ならない。

 その器は適切な者であらねばならない……己の死を着々と感じ、この力を己の死で終らせる事がどうにも納得がいかなかった。

 彼は、ベリルに呪いをかけたのだ。

 冥府に旅立てないように、永劫の命をその身に宿らせるために……その美しいままの姿で生き続けられるように──

「まったく、これだから困るのだ」

 ベリルは口の中でつぶやいた。

 人間と神、人間とドラゴンの意識の隔たりは大きい。

 人の意識など知ったことかと勝手に色々と押しつけてくる。

 挙げ句の果てに永遠の命とドラゴンの力だと? これが笑わずにいられようか。

「……で、あの女はどうなるんだ?」

「気をつけろ。あれが最も強大な敵になる」