「聞こえるぞ、お前の心臓の音が」

「……」

「おいっそいつは人間なんだぞ、心臓を食ったって永遠の命なんか手に入らないって!」

 そんなグエンをギロリと睨み付け、そしてすぐ口の端を吊り上げる。

「こやつはドラゴンの力を持っている。今はもう人よりもドラゴンに近しい存在なのだ」

 ベリルはその言葉に苦い顔をした。

「……ぐっ」

 女の手がベリルの胸に沈み込む。

「! ベリルっ」

 目的のものに手が触れたのか、女の顔がさらに喜びを表した。

 ゆっくりと、女の手が胸から出てくる。何かを握りながら──まだつながったままのソレは、定期的に鼓動を繰り返していた。

「例え心臓といえど、美しいお前で良かったぞ」

「……っ」

 ベリルは憎らしげに女を睨み付けた。

「があう!?」

「ベリルー!」

 勢いよくソレを引きちぎり女は心臓に歯を立てた。