オーガはとうとう、その痛みに地面にドシンと倒れ込んだ。

「今だ!」

 刃と魔法と矢がオーガに浴びせられる。

 その攻撃にさすがのオーガも少しずつ動きを鈍くさせ、息を止めた。

「ふう……まったく。ベリル!」

「動くな!」

 駆け寄ろうとしたグエンたちの足が止まる。

「それ以上、近寄るとお前たちは谷に落ちるぞ」

「……っ」

 女の言葉は嘘ではないらしい。グエンたちの足下が微妙に揺れていた。

 女の手1つで自分たちの地面が裂ける。

 グエンは冷や汗を垂らした。

 女は改めてベリルを見下ろし、胸をはだけさせる。

「なんか俺、すごく嫌な考えになっちまった……」

「おぬしの想像している通りだろう」

 グエンたちはその光景を見つめているしかなかった。