リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 城に近づくにつれ、道は広くなっていく。

 逆に谷は狭くなっていき、城にたどり着く頃には谷は終っていた。

 城から谷に目を向けると、切り立った山に沿って谷が続いていた。

 一行が城の扉に進もうとした刹那──大きな羽音が聞こえ、ワイバーンが討伐隊の眼前に降り立った。

 その背にまたがるは美しい女。

 しかしその瞳は、冒険者たちを強く射抜き馬たちを怯えさせる。

「我に刃向かうなどとは、なんたる愚かな者どもだ!」

 真っ赤なドレスと首を飾る金細工。

 漆黒の流れるような艶やかな黒髪は腰まで届き、そのくびれたラインを引き立たせている。

 グエンは、その美しさに口笛を鳴らし口角を吊り上げた。

「美人だが、気にくわねぇ」

「なんたる邪悪なオーラだ」

 ソーサラー(魔術師)が女を見上げてつぶやく。

「さしもの、自分の美しさに酔って永遠の命を欲しがってるクチかな?」

 皮肉混じりに問いかけたグエンに、ベリルは同意するように肩をすくめた。