一方──討伐に向かっているベリルたち。
「ひえぇ……」
グエンは、恐る恐る馬の脚を進める。
右は切り立った岩肌、左は底の見えない谷。
狭い道に冷や汗がこめかみから流れる。
レンジャーは谷に入ってから馬を降りて先頭を歩き、そのあとにベリルが馬に乗って続いている。
その足取りは軽く、とても同じ馬とは思えなかった。
「そういや馬の王からの贈り物とか言ってたな……」と、グエンは思い出す。
「ここがリンドブルム峡谷か」
ベリルがつぶやいた言葉に、先頭で歩いているレンジャーは頷く。
「ずっと昔、リンドブルムが住処にするためにこの谷を作ったと謂われている」
「おいおい、ホントかよ」
苦笑いで発するグエンの声に、レンジャーは少し谷を見下ろして応えた。
「真実は解らないさ、語り部たちから聞いた話だからな」



