リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「な、なあ……もう終ったんだろう? だったら、こんな事はしなくてもいいんじゃないのか」

 エルドラは、無表情だった眉をひそめ男を見つめる。

「まだ敵は存在している。君たちを守るために、その敵を倒しに向かった仲間たちがいるのだ。君たち自身を守るために我々もここにいる事を忘れないでもらいたい」

「それとも、またオークどもが襲ってきたらお前らで何とかするってぇのか? だったら俺たちは出て行くがな」

 苛ついたドワーフ族の男が、髭(ヒゲ)だらけの顔と出っ張った腹を突きだして威勢良く見上げた。

 背の低いドワーフ族だが、装飾細工に長け斧を振り回す屈強な戦士である。

「……」

 男は威圧され、すごすごと帰って行った。

「まったく……なんなんだこの町の奴らは」

 ドワーフのガメルは鼻息荒く、斧の柄をドシンと石畳の床に打ち付けた。

「町の成り立ちを知っている者はいなかったし、おかしな町だ」

 と別の冒険者が発する。

「神に守られていた弊害。とでも言うのでしょう」

 エルドラは小さくつぶやいた。