リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「うむ。どちらが私を自分のモノにするか、本人そっちのけで争い合うのだ」

「……」

 エリスは少し考えて、眉をひそめた。

「じゃあ……」

「ん?」

「何度かさらわれたことがある。って事ですか?」

「……」

 しばらく沈黙──

「いたい処を突く……」

「ハッ!? ごめんなさい」

「長生きするとロクな事がない」

 ベリルは小さく溜息を漏らし、足を組んで目を据わらせた。

 片肘を突いて、その手に頭を乗せる。

「……」

 神秘的ながらも、スネたようなベリルの様子にエリスはクスッと笑みをこぼした。

「友人として付き合うなら有り難いのだがね。彼らの力は大いに助けになる」

「そうね」

「『助ける代わりに抱かせろ』と言われてもな」