リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 少し意外でもあったが、気さくに声を掛けてくるのは女神くらいなのだろう。

 そう考えれば嫌ってもいられないかもしれない。

 あの女神はお転婆だが、どこか憎めない部分がある事は確かだ。

「……」

 ベリルはどう言えばいいのか考えあぐねたが、紅茶を一口味わうと口を開いた。

「狙われている人間が好きでいられると思うかね?」

「?」

 エリスは少し首をかしげる。

「私は死ぬ事は無いのだよ。相手を許容してしまっては、私は永遠にその者と共にいなくてはならない」

「! あ……」

 そか……とエリスは視線を泳がせた。

「嫌っている訳ではないのだ。ただ、お互いの距離は解ってもらわねばならないという事なのだよ」

 私は人で、彼らは神だ。同じ世界では存在出来ない。

「永遠の命を持っているのに?」

「それでも、私は神になりたいとは思わない」