リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 温めた飲み物を手渡すと、ベリルは軽く礼を言った。

「それで、あの……」

「明日の朝、広場で集まり北西にある岩山の谷に向かう」

「!」

「そこが怪しくてね」

 沈黙がしばらく続いた。

 暖炉の薪がパキリと弾ける音が部屋に響く。

「わ、私も……っ」

「お前は町の守りを頼む」

「!?」

 言われる事を解っていたように、ベリルは彼女の言葉をさえぎり発した。

「この丘は西の監視に丁度良い」

 お前がここにいれば、監視と守りになるだろう。

 ベリルは静かにそう言った。

「すまないが荷物を預かっていてくれ」

「え……」

 エリスは応えず、静かな空気が流れる。

「あの……っ」

「ん?」

 意を決したようにエリスは口を開いた。