リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 ドアを開き、入ってきたベリルに目を丸くする。

「……もう、戻ってこないと思ってた」

「荷物を置いてか?」

 言われて「そうだった」と思い出したような顔をした。

「今日も宿を頼みたいのだが」

「え……っ、とその」

 目を泳がせる。

「迷惑ならば出て行く」

「! 迷惑だなんて……そんな」

 顔を伏せ、どうしようかと決めあぐねているようだ。

 彼女は部屋の中をあちこち見回し、両手の指をモジモジとしている。

「ああ、すまん。丸太が言うことではなかったか」

「!」

 エリスは目を見開いてベリルを少し見上げた。

「丸太……」

「そう、丸太だ」

 念を押すように発すると、エリスは小さくクスッと笑った。

 ベリルを居間に案内し、暖炉に新しい薪をくべる。