リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「! ほう」

 エオスはそれから、昔を懐かしむように語り出す。

 その昔──ここには大きなドラゴンが棲んでいた。

 それは手足のない大蛇のごとき威容で、ひと山ほどもある長さだった。

 エオスは人間との間に子を何人かもうけていて、その子どもたちが成長し結婚した。

 その息子が「自分たちの国を作りたい」と言い、土地を探しているうちにこの地にたどり着く。

 しかし、そこにはすでにドラゴンが棲んでいて初めは丁寧に交渉していたがそのうちに争いになり……

「で、あたしの息子が勝ったの。自分の命と引き替えにね」

 その時はまだエオスの実子であったため女神の血が濃く、ドラゴンを倒すだけの力を持っていた。

 しかし、さすがに古くから生きているドラゴン相手では相打ちになってしまった。

「その時のドラゴンの体を町の囲いにしたの。西が丁度、頭と尻尾の間なのよ」

「なるほど」

 東の門はその時、ドラゴンをまっぷたつにした部分なんだそうな。