「やった、勝ったぞ!」

 冒険者たちは一斉に歓声を上げた。

 ベリルとグエンは互いに顔を見合わせ笑みを浮かべる。

「やっと終ったぜ」

「いや、まだだ」

 暮れゆく空を一瞥し、ベリルは苦い表情をした。

「オークを裏で操っている者の姿が未だ見えぬ」

「確か占星術師がいたハズだ」

 グエンは冒険者の中に占い師がいた事を思い出す。


 広い部屋──そこに冒険者たちは集まった。

 15㎝ほどの丸く磨かれた水晶の前に、黒いレースのヴェールを頭に被った髪の長い男性が静かに腰掛けている。

 そのカールした栗色の髪の間から見える黄色い瞳は、水晶をじっと見つめていた。

「エリスは?」

「先に家に戻っている」

 グエンとベリルは、占星術師の出す言葉を待ちながら会話を交わす。