「仕方がない」

 ベリルはつぶやき1度、目を閉じる。

「エリス、グエン……私から離れていろ」

「何をするつもりな──」

 ベリルを見たグエンは喉を詰まらせた。

 その瞳は血のような赤──ギョッとして数歩、後ずさりしたグエンは足下が小刻みに震えているのを感じた。

「なんだ?」

 ……この地鳴り、ベリルの方から?

 少しずつ……足下からベリルに視線を移す。

「!?」

 今までにないほどの威圧感。

「……」

 ベリルは溜息を吐き出すと、その瞳を前方に見えるオークの群に向けた。

 すると──すさまじい衝撃波が20mほど走り、オークどもを蹴散らしていく。

「なんだぁ!?」

 次にベリルは、右手に持っていた剣をゆっくりと斜めに構えた。