数秒後、さらりと流した左手の先に現れたものは──地面からムクムクと盛り上がった、2mを越える人型の土人形。

「! アース・エレメンタルか」

 この世を形作る四大元素の精霊。

 その意思のない精霊をベリルは召喚したのだ。

 それを3体ほど召喚し、溜息を吐き出すと剣を構えた。

「……」

 グエンはオークを倒しながらベリルを感心するような目で見つめる。

 ワイバーン2体とアース・エレメンタル3体を制御しながら戦っている。

 これが驚かずにいられようか。

「まずいな」

 ベリルは空を見てつぶやいた。

 太陽の傾きは夕刻を知らせるように、その日差しをオレンジに変えていく。

「暗くなる前に全滅させられるかっ?」

 グエンが声を張り上げてベリルに問いかけるが、彼は苦い表情を浮かべた。