リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

グエンは前を見つめ、苦笑いを浮かべる。

「ホントに来るのか?」

「多くの気配が迫っている」

 ベリルはそう言うと、口の中で何かをつぶやいた。

「! お……?」

 言い終わったと同時にグエンに右手を少し示すと、彼の体が淡い光に包まれる。

「なんか軽くなった気がする」

 淡い光が消え、グエンは自分の体を確認するように見回した。

「ブレス(祝福)の魔法をかけた」

「そいつは有り難い」

 グエンはそう言って、背中から斧を取り出す。

 柄の長い『バルディッシュ』と呼ばれる戦斧(せんぷ)だ。

 全長はベリルの背丈ほどもあり、刃渡りは70㎝を越えている。

「相手は何人くらいだ?」

「気配だけで量るならば……およそ200といった処か」

 それを聞いたグエンはギョッと目を丸くした。