リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「チッ……冒険者どもを広場に集める!」

「頼む」

 走るグエンの後ろ姿を見つめ、ざわついている住人を見下ろす。

「戦う準備を! モンスターたちが攻めてくるぞ。女や子どもは家の中に! ドアを固く閉ざして動くな」

 怪訝な表情を浮かべて、住人たちは互いに見合った。

 そして、ベリルの前に乗っているエリスを見た住人の1人が「エリスの呪いか?」とつぶやく。

「!」

 エリスの体がビクリと強ばった。

「エリスの力に引き寄せられたんだ」

 どす黒い声が増えていく。

 ベリルは目を吊り上げ、馬の手綱を引いていななきを促した。

「無意味な事を言っている場合ではない! 自身の怠惰(たいだ)が招いた事だとどうして気づかない」

「どういう意味だ?」

「説明している暇は無い! オークどもはすぐそこまで来ている。死にたくなければ準備をしろ」

 ベリルは言って馬を広場に向かわせた。