リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 ベリルは「そんな暇は無い」と言いたげな表情を浮かべたが、仕方なく説明した。

「この町は長きにわたり平穏を保ってきた。モンスター共は機会を窺っていたのだよ」

 町を襲う機会を──

「どうして……っ」

「理屈など無い」

 どんな種にも敵対的な存在はいる。

 エリスは差し出された手を掴み、ベリルの前に乗った。

「今の結界では破られてしまう」

「……」

 ベリルは馬の腹を蹴り、町に走らせた。

「単体では強さは無いが、数多くの悪意が迫っている」

 町の入り口に入り、そのまま馬を走らせる。

「! ベリル!」

「グエンか」

 前に乗せているエリスを一瞥し、いつものベリルでは無い事を悟ったグエンは神妙な面持ちになった。

「何があった」

「冒険者を集めてくれ。敵が来る」

 それを聞いた周りの住人たちがざわつく。

「! 敵?」

「この気配は、おそらくオーク」

 グエンは、空を舞う巨大な存在を確認した。