「どうしたの?」

「エオスはどこだ!」

 ベリルはそう言って指笛を鳴らす。

「! エオス? 何故……」

 首をかしげるエリスの目に、こちらへ駆けてくる馬の姿が映った。

 ベリルは草原に放していた褐色の馬にまたがり、エリスを見下ろす。

「このままでは結界がもたん」

「えっ?」

 ベリルがそう言った時──何か大きな影が頭上をかすめた。

「なに……?」

「ワイバーンだ。町に向かっている」

「どういうこと!?」

「あれは斥候(せっこう)だ。すぐに本隊が来る」

「解るように説明して!」