「あ……」

「ん?」

 声の方を振り返る。

 そこにはエリスが気まずそうに立っていた。

「聞いていたのか」

「……ごめんなさい」

ベリルはそれにさしたる関心も無いように、謝られた事に対してのみ「構わない」と軽く手で示した。

「あなたは……」

「ん?」

「着やせするのね」

「ああ……よく言われる」

 一見すると華奢に見えるベリルだが、おそらくその容姿のせいでもあるのだろう。

 実際は見た目から想像するほど細くなく、この町の住人よりはガッシリした体格だ。

 突然の話にベリルは少々、首をかしげたが話題を変えようと必死に別の話を切り出したのだろうか?

 それとも剣を持っているベリルに、ふと思った事を思い出して発しただけなのだろうか?

 謎ではあるが……深い意味は無いようなのでそのまま流した。

 気を取り直して家に入ろうと足を進めたベリルだが──

「!? いかん!」

「え?」

 空を見上げて声を張り上げた。