「……」

 エオスは、彼の手にある剣を一瞥する。

「それ、強そうね」

「神を切り裂くほどには強いだろう」

「どうして抗うの? あなたの自由にしていいのよ」

 艶やかな声、しなやかな動き。

 めまいがする程の美しさだが、もはや彼にはそんな感情は消え去っていた。

 牽制するように剣を構え直す。

「あなた、勿体ないわ」

「何の話だ」

「折角、そんなに美しいのに」

「そんな事は知らん」

「もっと女を知るべきよ」

 その言葉に、ベリルは激しく眉をひそめた。

「お前に目を付けられた時点で、『もっと女を知るべき』という言葉は無意味な気がするのだが」

「あ、バレた?」

 エオスはペロリと舌を出す。