ベリルは、不安げな面持ちのエリスを一瞥し小さく溜息を吐き出す。

「町で声をかけられたろう」

「!」

「奴は私の知り合いでね。失礼な事を言ったと思う。代わって謝罪する」

「そ、そんな! あなたは関係ないです」

 頭を下げたベリルに両手を出して止めた。

「奴は少々、元気がありすぎてね」

「いいんです……慣れてますから」

「根は良い男なのだ。許してやってくれ」

「ホントに、いいんです」

 そして、食べ進めるベリルをじっと見つめた。

「私の顔に何かついているかな?」

「あ、ごめんなさい……」

 頬を赤らめ顔を伏せる。

 女性がベリルに見せるいつもの表情だ。

 見慣れた表情にさして関心を示さず、部屋の中を再び見回した。

 小さな家だが、部屋はあと2~3室はありそうだ。

 だとすると、ここは客間かな?

 ベリルはスープを飲み干し、器を返す。