小さく礼を言ってそれを受け取り、木のスプーンを沈めた。

「……」

 口に運ぼうとするが、エリスの視線が気になってどうにも食べづらい。

「食べていいのだよな?」

「あっあ、ごめんなさい……初めて、だから……」

「? 初めて?」

「人に、食べてもらうの」

 ベリルはそれに、ああ……と小さく発してスープを一口。

「……」

 それを、エリスは息を呑んで見つめていた。

「食べられない。こともない」

「そ、そう……」

「嘘だ、美味い」

「!?」

 驚いたような彼女の顔を見て、ベリルはクスクス笑う。

 少し怒った表情を浮かべたあと、エリスは真面目な顔になった。

「私のこと、知ってるのね」

「ん」