「一体、何が」

 レクシュの様子に驚くベリルに、エオスは上品にしかし、あざ笑うように応えた。

「ようやく、己の醜さに気がついたのよ」

「何?」

「自分がしてきた仕打ちがどれほどのものだったのか。やっと悟ったのでしょ」

 しれっと言い放つエオスを、ベリルは睨み付けた。

 そしてレクシュに駆け寄る。

「レクシュ! お前は何もしていない。何も悪くは無いのだ」

「やめろ……来るな。俺は、お前を散々……自分のために利用していたんだ……すまない」

 すまない……すまない……レクシュはひたすら言い続けた。

 ベリルはその姿に立ちつくす。

「違う……私はこんな事を望んではいない」

 解ってくれる事は望んでいても、彼のこんな姿は望んではいないんだ──!