「ウエヤマさん、会社辞めようと思ったことってあります?」
「何でや?」
「何でってことはないんですけど…」
「君、辞めようと思ってんのか?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど」
「やめとけよ」
「会社をですか?」
「違うわ。簡単に会社を辞めようなんて思うなよってことや。会社を辞めるということは、君の社会的存在価値がなくなるということやで」
「存在がなくなる?」
「いや、自分が本当に存在しているのかというような哲学的な話やなくてやな、職業や地位で人の存在価値を決め付けてしまうこの現社会での存在価値がなくなるということや。俺らみたいな代替可能なサラリーマンは、もともと社会的存在価値は低いけどな。それでも、俺らはこの社会の枠組みの中で生きているわけやからな。君は、製油会社の社員って事以外に、何か自分の社会的存在価値を明確に確認出来るものがあるか?」
「社会的存在価値ですか。そんなこと考えもしなかったですね」
「この社会で生きて行くためにはな、存在を認めてもらっといた方が何かと生き易い。ダンサーでも、トラックの運転手でも、芸能人でも何でもいいけど。資格でもええで。栄養士とか税理士とか。フリーターなんちゅうのもあるけど、あれはアカン。その場しのぎや。執行猶予が切れたら、即刻社会から抹殺されてしまうからな。そういう地位とか職業みたいなものがあるかってことや。そういった支えを失うと、最悪の場合、絶望してしまうで」
「そんな大袈裟なもんですかね」
「何でや?」
「何でってことはないんですけど…」
「君、辞めようと思ってんのか?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど」
「やめとけよ」
「会社をですか?」
「違うわ。簡単に会社を辞めようなんて思うなよってことや。会社を辞めるということは、君の社会的存在価値がなくなるということやで」
「存在がなくなる?」
「いや、自分が本当に存在しているのかというような哲学的な話やなくてやな、職業や地位で人の存在価値を決め付けてしまうこの現社会での存在価値がなくなるということや。俺らみたいな代替可能なサラリーマンは、もともと社会的存在価値は低いけどな。それでも、俺らはこの社会の枠組みの中で生きているわけやからな。君は、製油会社の社員って事以外に、何か自分の社会的存在価値を明確に確認出来るものがあるか?」
「社会的存在価値ですか。そんなこと考えもしなかったですね」
「この社会で生きて行くためにはな、存在を認めてもらっといた方が何かと生き易い。ダンサーでも、トラックの運転手でも、芸能人でも何でもいいけど。資格でもええで。栄養士とか税理士とか。フリーターなんちゅうのもあるけど、あれはアカン。その場しのぎや。執行猶予が切れたら、即刻社会から抹殺されてしまうからな。そういう地位とか職業みたいなものがあるかってことや。そういった支えを失うと、最悪の場合、絶望してしまうで」
「そんな大袈裟なもんですかね」
