ジャックは何度も結界に当たり続けてきた。

魔力も相当、減少している。

しかし、構わずに破壊する。

辿り着いた先は、木造の扉の前。

ジャックは蹴破る事無く、静かにあけた。

扉の向こう側は平原が広がっている。

それは、別の空間に繋がっているかのような光景であった。

草原の真ん中に、一人の女性が立っている。

「こうして実物で会うのは初めてかしら」

女性は心地の良い風に髪を靡かせながら、ジャックを見る。

「ルール『魔力の使用禁止』」

ジャックは拳銃を構えると同時に放つ。

「そう」

弾丸は秋野に当たったかと思われた。

しかし、秋野の前にガラスでも張っているかのようにヒビが入る。

もう一撃放つ。

しかし、ガラスが割れることはなく、ヒビが入るだけだ。

「あなたという存在は、妖魔にとって脅威だという事は最初から解っていたわ」

ジャックは何も答えない。

次に用意したのは、手榴弾である。

ピンを外しながら、秋野に向けて投げる。

壁に隠れながら、爆発を回避した。

しかし、秋野の魔力は消えていない。

ジャックは次の手を考えるしかなかった。