紅い学ランの男の後ろには茶髪のギャルが鏡で自分の顔を見ながら着いてくる。

終始、赤い学ランの男は無言だ。

「あんた名前、なんていうの?」

「前にも言ったが?」

「何度でも答えてよ」

「どうせ忘れるのなら、言う必要はないな」

「心せまーい」

男は女を無視して、足を進めた。

「あんたの願いって何よ?」

「少しは黙っていられないのか?」

口調は変わらないものの、男の空気はピリりと辛い。

「私が暇じゃん、男なんだから、女の子を喜ばすとかあるんじゃない?」

「お前は何で俺についてくる?」

「何で私があんたの問いの答えなくちゃなんないわけ?プライバシー侵害なんですけど」

男は黙って進む。

「ねえねえ」

男は足を止め、女に振り返る。

「お前を始末しようか?」

女の首を掴み、睨みを利かせる。

「なによ、怒ったわけ?」

「あまりにピーピー五月蝿いからだ」

「わかったわかった。ちゃんと会話してあげるから、そう怒らないでよ」

睨みが利いていないかのように、女は笑う。

「その前に黙れ」

「い・や」

無駄な事だと思い、男は手を離した。