千鶴に背を向け、俺は歩き始める。

「兄さん」

「やる気になったらやる気になったでいいんだよ。俺はお前の意思を無視する事なんて出来ないんだしな」

その一言をつげ、墓から出る。

今の千鶴には考える事が多い。

二日の間で答えを出してくれればいいのだがな。

そうならなかった時は、全てが終わる。

後ろからはロベリアが付いてきた。

「王子様、行くの?」

「イヴァンのボケがどこにいるかわかんねえけどな」

「私も、行く」

「死ぬかもしれねえぜ?」

「もう、置いていかれるのは嫌」

「そうか」

途方もないが、どこかにヒントがあるのも確かな事だ。

「姉さんを誘拐しようとしてるんじゃないわ!」

前からのドロップキックを両手で受け止める。

勢いだけはある蹴りに覚えはある。

傍に立っているのは、ライダースーツを着用したジャスミンだ。

「よ、元気にしてたか?」

「しぶとい奴ね」

「やる事があってな」

「私も行ってあげる」

「ジャスミンが、か?」

「何よ、姉さんが行くのなら私も一緒。分かってるでしょ」

「ありがたいね。実は、お前も来ないかと思ってたんだ」

「私の心は姉さんの物なの、冗談は顔だけにしてよ」

「へいへい、じゃあ、行くとするか」

俺達三人はあてを見つけるために、周囲の探索を始めた。