妖魔の里はミールオルディンの手によって落ちた。

しかし、葉桜丞の特攻がきっかけとなり、再び妖魔達の手に戻る。

クルトは妖魔の里の復興に勤しんでいた。

就職先が見つかり、せわしない毎日を過ごす。

しかし、心に大きな穴が開いたようにも感じていたのだ。

原因は、就職先を共に探した人物の死のせいである。

今でも信じられない気持ちに覆われていた。

「はあ」

クルトは大きなため息をついた。

「またため息、何回目よ」

先輩の女の言葉を気にする事無く、必要書類を書き続ける。

「でもまあ、最初はどうなるかと思ったけど、慣れるといいペースで仕事をするようになったわよね」

「ふん、オラ」

「私、でしょ」

次を続けようとしたところで、訂正するように促される。

「私は、やれば出来るんだ」

先輩からは色々と教わっているので素直に従っている。

最初に仕事を教わったりしたのも、今話している先輩からであった。

先輩は真摯な姿勢でクルトと接している。

だからこそ、クルトも少しずつではあるが先輩を慕い始めていた。

「そうそう、その調子」

傍にあった電話が鳴ったので、先輩が取る。

妖魔の里も少しずつ変わりつつあった。

変化とは、以前よりも人間界の物を取り入れた事だ。

変化に戸惑いつつも、知能もあるので次第に溶け込んでいく。

しかし、人間はまだ妖魔の里には入ってきていない。