「パパー!」

摩耶が授業に使う書類の製作をしているアカ・マナフに抱きついた。

アカ・マナフは生きていた事により、学校に戻る事となった。

そのせいか、飛鳥は人事によって他の学校に飛ばされる事となった。

今はアカ・マナフのアパートにいる。

「おやおや、どうしましたか?」

「この匂いどない?」

摩耶は自分の匂いをアカ・マナフに嗅がせる。

「これは、柑橘類が恋しくなるような匂いですね。今日のご飯はめざしとぽんずがいいんじゃないでしょうか」

「ええー!ぽんずなんて贅沢やで!酢橘やったらウチがとってきたる!じゃなくて!ウチ、最近、楓ちゃんから香水もらったんや」

「おやおや、楓さんも大人の道に入りましたね。親御さんもさぞお喜びでしょう」

「ウチの知らん間にびっくりするわ、なあ、マリア」

「あ、はい。香水、素敵ですね」

施設がお休みのマリアは、アカ・マナフの家に来ていた。

施設には何人かの先生がおり、交代で面倒を見ることとなっている。

ほとんどマリアが見ているが、たまに休みを貰える。

アカ・マナフの隣に座って笑顔になりながら、摩耶に答える。

「もう、マリアは気の抜けた感じやなあ」

「こんな自分だけの日常が来るなんて、思いもしませんでしたから、まだ少し慣れなくて」

「もっとリラックスしてええんや、それがこの世界のええところなんや」

「そう、ですね」

「ほら、マリアもこっちにきて香水つけたる!」

摩耶は無理矢理マリアを奥へと連れて行った。

「おや、摩耶さんの前向きな姿勢は今日の酢橘取りにも発揮されるかもしれませんね。私も見習いたいところですよ」

アカ・マナフはいつもと変わらぬ日常を送っていた。