ジャックの中には、妖魔に対して憎しみが満ち溢れていた。

しかし、殺す事は契約の道から遠のいてしまう。

ラインが言うには、契約は洗脳では行えないとの事。

力を最大限に使うには、自分の意思で行わせなければならない。

だからこそ、私情は捨てた。

ジャックは女に本当の事は言わず、自分に協力する方向へと持っていく。

何が間違いなのかも解らないほどに、女はジャックに心を奪われていった。

時間が経つと共に、女は愛と同時に信仰心も芽生えるほどジャックにのめり込んだ。

女にとっての幸せは、ジャックの想いに答える事だ。

それが、痛みを伴うことでも、体を捨てることでも。

何もかも、見境はなくなっていた。

女は、契約妖魔への道を選んだ。

ジャックは、ほくそ笑む。

時間を要したものの、全てを覆すほどの収穫であった。

力を得たジャックの行動は加速した。

能力の『ルール』を用いてとある軍内部の情報を掌握し制圧。

更に、軍のルールを全て作り変え、自身の有利な方向へと持っていく。

相手を圧倒できるほどの人海戦術の力を得たのだ。

こうしてテンプルナイツは築き上げられ、ジャックは妖魔に対してのスペシャリストとしてのトップと立った。

女はコアとして、常にジャックの中にいる。

同族が死んでも、感情は微動だにしない。

人間と蟻との関係に似ていた。

それ以上に、自分の力を必要とし、上手く使うジャックに心酔している。

その感情は永遠に変わる事はない。

例え一回失敗したからといって、失望する事もない。

自分の力の使い方を共に考え、手助けする。

しかし、ジャックの感情も変わる事はない。

自分を陥れた妖魔を絶滅させるまでは、変わらないのだ。